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黒龍(こくりゅう)「大吟醸」しずく2017

黒龍(こくりゅう)「大吟醸」しずく2017

 昨晩は福井県の黒龍酒造株式会社さんが醸す、黒龍(こくりゅう)「大吟醸」しずく2017をいただきました。毎年、この時期だけの贅沢として味わう黒龍の四天王。石田屋、二左衛門、八十八号、しずくを順番に紹介していくシリーズ第四弾です。

 しずくをおさらいしておくと、お酒の上槽(「もろみ」を酒粕と清酒に分離する)方法が、もろみを酒袋に入れ吊るし、滴り落ちてくる「雫(しずく)」を集めたことから名付けられています。

 圧力がほとんどかからないことから清酒に雑味成分が入らず、綺麗な酒質となります。現在でも鑑評会などの出品用のお酒はこの上槽方法が使われることが多いようです。

 入手困難な黒龍の極みの酒シリーズ四天王の中でも、年に二回(6月、10月)出荷されることから、その難度は下がっていると言われています。

 しかし、店頭に並ぶことは相変わらず稀で、取扱店と懇意にしつつ予約をしておく必要があります。

 濃色の機械式の瓶で、首から「大福帳」と書かれた口上が下がっています。ラベルは越前和紙で、シンプルに「しずく」と書かれています。パリの個展で有名な福井を代表する書家・吉川壽一氏の題字です。見る限り昨年との装いの違いはありません。

 口上には…、

大寒の凍てつく寒さの中での秘術をつくした吟醸造り、自然に滴り落ちる入魂の一滴から「しずく」と命名いたしました。容器は明治末より長い間使用された懐かしいアンティークボトル(機械口)を再現。吟醸のみが持つデリシャスな香り、滑らかな舌ざわりを本当に酒を愛する方に蔵出しさせて頂きます。

 とあります。昨年はデキャンタすることで口上にある滑らかな舌ざわりが出てきましたが、今回はいかに…。

 開栓後三週間が経過しています。開栓直後は、今回の四天王シリーズではもっとも揮発感が強く、ややとがって感じました。空気に触れさすつもりで置きましたので、ブログの記事もラストとなりました。

 いつもの一合蛇の目猪口に八分目ほど注ぎます。色はほとんど着いておらず、綺麗に澄んでいます。

 上立ち香は、心地よく華やかマスカットのように香ります。香りの強さは二左衛門、八十八号には及ばないものの、程よく香ります。

 含むと、おお、丸くなったぁ。開栓当初は四天王の中では異質だっただけに、この変化は嬉しい。黒龍らしい酸を感じさせないほのかな甘み緻密な味わいながら、優しく滑らかに喉を通ります。後半も高級酒にふさわしく、すっきりと切れ上がって消えます。

 もう一度注意深く含む。思わず目を閉じる。なぜか聞こえてくる、酵母が作る炭酸ガスが奏でるような、プチ、ピチと言う雨音。その他のノイズは一切なく、ピチョン、ポチョンっと「しずく」の音に見事に変化し、直後には静寂に包まれる。旨いっす。


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黒龍(こくりゅう)「大吟醸」しずく2017 データ

醸造元 黒龍酒造株式会社(福井県吉田郡永平寺町)
使用米 兵庫県東条産特A山田錦35%精米
使用酵母 蔵内保存酵母
日本酒度 +5
酸度 1.2
アミノ酸度 0.9
アルコール度 15度
仕込水 九頭竜川伏流水(軟水)
杜氏 畑山浩
製造年月 2017/10下
容量 720ml
価格 5,000円(税抜き)
購入 酒のきまた

黒龍(こくりゅう)「大吟醸」しずくに関するリンク

日本酒ガイド > 福井県 > 黒龍(こくりゅう)黒龍酒造株式会社

黒龍醸造さんオフィシャルサイト

黒龍(こくりゅう)「大吟醸」しずくに関するブログ

黒龍(こくりゅう)「大吟醸」しずく2020
福井県の黒龍酒造株式会社さんが醸す、黒龍(こくりゅう)「大吟醸」しずく2020を飲んだ感想。美しい中に存在するテクスチャー。これはプリムラ・ジュリアンだ。プリムラの中でも薔薇咲きで、陰影が作り出すグラデーションも美しい。探ると、見えてくるZEISSマクロプラナーならではの質感。

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